預金金利が0%程度で推移している超低金利の昨今。
貯蓄用や万が一の備えなど、様々な角度から注文を集める”保険商品”ですが、この保険の料金(保険料)を支払うことにより、税金が安くなるということは皆さんご存じでしょうか?
今回は次のような事について説明していきます。
今回の内容を理解することにより、超低金利の現在でも、元本保証で利回り1%以上の貯蓄を行うことが出来るようになります。
ぜひ、最後までお付き合いください♪
税金が安くなる仕組み(所得控除って何?)
給与所得をもらっている人の所得税・住民税は、給与所得から所得控除を差し引いた金額に税率を掛けて求められます。
( 給与所得 - 所得控除 )× 税率
税率は、住民税は一律10%、所得税は所得金額により税率が変動するため、下記の速算表を使用します。

給与所得から所得控除を差し引いた金額に税率を掛けて税金の額を求めますので、当然この所得控除の金額が多くなるほど税金は安くなります。
そして、みなさんが支払った保険料は”生命保険料控除”という所得控除の一種として、給与所得から差し引くことが出来るんです。
所得控除には生命保険料控除を含めて全部で15種類の控除があるんだよ♪
▶▶”所得控除”について詳しくはこちら
生命保険料控除
生命保険料控除は所得控除の中の一つで、生命保険料を支払った場合に控除を受けることができます。
この生命保険料は3種類に区分され、それぞれの控除額を個別に計算します。
生命保険料の3つの種類について見ていきましょう。
① 一般の生命保険
生存または死亡に起因して保険金が支払われる保険
例)死亡保険・収入保障保険・学資保険・養老保険など
② 個人年金保険
個人年金保険料税制適格特約の付加された個人年金保険
例)個人年金保険
③ 介護・医療保険
入院・通院などに伴い給付金が支払われる保険
例)医療保険・がん保険・介護保険など
火災保険や自動車保険は損害保険になるため、生命保険料控除の対象にはなりません。
地震保険料は”地震保険料控除”という別の所得控除の対象になるよ♪
▶▶”地震保険料控除”については所得控除を参照下さい。
生命保険料控除額の計算
生命保険料控除は支払った保険料が全額控除額になるのではなく、支払った保険料に応じて決まった割合が控除額になります。
そのため、控除額の速算表を用いて、支払った年間保険料から生命保険料控除額を計算する必要があります。
また、所得税と住民税では支払った保険料に応じた控除額の割合が異なりますので、所得税・住民税それぞれで控除額を計算する必要があります。
所得税と住民税では支払った保険料に応じた控除額の割合が異なるんだ! だから、所得税・住民税それぞれで控除額を計算する必要があるんだよ♪
所得税の控除額
所得税の控除額の速算表は次のようになります。

そして、控除額の上限は1種類につき最高4万円で、3種類合計で最高12万円になります。

住民税の控除額
住民税の控除額の速算表は次のようになります。

そして、控除額の上限は1種類につき最高2.8万円で、3種類合計で最高7万円になります。
ねーねー、1種類が最高2.8万円で3種類だから、2.8万円×3種類=8.4万円が最高金額だよね?計算間違えてるよ!!
そう思った人は鋭いね♪でも、住民税の控除金額は、一種類の最高金額は2.8万円なんだけど、3種類合わせた最高金額は、8.4万円じゃなくて7万円になるんだよ♪
ちなみに、なぜ8.4万円ではなく7万円になるのかは、生命保険料控除の旧制度⇒新制度への切り替わりが関係してくるのですが、話がややこしくなるので内容は割愛させていただきます。

どれくらい税金が安くなるか計算してみよう
生命保険料控除を使うことで、税金が実際にどれくらい安くなるのかを実例を用いて一緒に計算してみましょう!!
例1
貯金をしてもほとんど利息が付かないため、貯蓄型生命保険への加入を検討しているAさん(所得金額500万円)。1年間に8万円の保険料を支払った場合、生命保険料控除を使うことで還付される税金の金額はいくらでしょうか?
≪ 控除額を求める ≫
1年間に支払う保険料(8万円)より、生命保険料控除額を求めます。
所得税の控除額は速算表より上限の4万円
住民税の控除額も速算表より上限の2.8万円
≪ 税金の還付金額を求める ≫
【所得税】
所得金額が500万円の場合、所得税の税率は速算表より20%になるので、控除額の20%分の所得税が還付されます。
40,000円(控除額)×20% = 8,000円の還付
【住民税】
住民税の税率は一律で10%ですので、控除額の10%分の住民税が還付されます。
28,000円(控除額)×10% = 2,800円の還付
よって、保険料を8万円支払った場合の還付金の合計は、
所得税8,000円+住民税2,800=10,800円になります。
この場合、80,000円の貯蓄をして10,800円の還付が受けられますので、実質69,200円の自己負担で80,000円分の貯蓄が出来ることになります。
また、実質負担額の69,200円を預金元本、還付金の10,800円を利息として考えると、単年計算で年利15.6%にもなります。
例2
60歳での定年退職を希望している現在40歳のBさん(所得金額500万円)。年金の支給が始まるまでの60歳~65歳までの生活資金への補てんとして、個人年金保険への加入を検討しています。年間5万円の保険料を支払った場合、生命保険料控除を使うことで還付される税金の金額はいくらになるでしょうか?
≪ 控除額を求める ≫
1年間に支払う保険料(5万円)より、生命保険料控除額を求めます。
所得税の控除額は速算表より
5万円 × 1/4 + 20,000円 = 32,500円
住民税の控除額は速算表より
5万円 × 1/4 + 14,000円 = 26,500円
≪ 税金の還付金額を求める ≫
【所得税】
所得金額が500万円の場合、所得税の税率は速算表より20%になるので、控除額の20%分の所得税が還付されます。
32,500円(控除額)×20% = 6,500円の還付
【住民税】
住民税の税率は一律で10%ですので、控除額の10%分の住民税が還付されます。
26,500円(控除額)×10% = 2,650円の還付
よって、保険料を5万円支払った場合の還付金の合計は、
所得税6,500円+住民税2,650=9,150円になります。
この場合、年間50,000円の積み立てをして9,150円の還付が受けられますので、実質40,850円の自己負担で50,000円分の貯蓄が出来ることになります。
例えば、この個人年金保険への積立を40歳~60歳まで20年間つづけると、81.7万円の自己負担で100万円分の老後資金を準備する事ができます。
- 負担金額:40,850円 × 20年 = 81.7万円
- 積立金額:50,000円 × 20年 = 100万円
仮に個人年金保険自体の利率を0%としても、この生命保険料控除の還付金だけで、20年間を通した1年ごとの利回りは年利1.12%にもなります。
低金利の現在、元本が保証されており、利回りが1%を超える商品は円建ての商品では見受けられません。
保険は契約してから解約までの期間が短いと払い込み金額が元本を下回る場合もあるから、その点には注意が必要だよ♪
生命保険料控除の申請
生命保険料控除は、会社員は年末調整で、それ以外の人は確定申告で控除の申請を行うことが出来ます。
控除申請には保険会社から送付される”生命保険料控除証明書”の提出が必要になるから、必ず保管しておこうね♪
まとめ
今回は、支払った保険料に応じて税金の還付が受けられる”生命保険料控除”についてみてきました。
現在、日本は超低金利時代。
預金金利も0%程度で推移しており、保険商品自体の利回りも低下しております。
しかし、生命保険料控除という税制優遇を活用することで、実際の積立金額よりも自己負担額を抑えることにより、実質利回りを高めることが出来ます。
金利がほとんどつかない現在の日本でも、保険や税金の知識を学んで、これらの知識を組み合わせることによって、より優位に資産形成を行うことができるんだよ♪
今回お話しさせてもらった内容が少しでもみなさんの資産形成のお役に立てましたら幸いです。
みなさんの明日がより良い日になりますよ~~に♪