税金の知識

知ってる?年末調整が必要な理由

年末調整とは、給与から源泉徴収された税金を再計算して、その年の納税額を調整する仕組みのことです。

今回は、この年末調整について一緒に学んでいきましょう。

▶▶”源泉徴収”についてはこちらをご覧ください。

年末調整が必要な理由

まなぶくん

でも、なんで年末調整なんてことをしないといけないの?毎年、何だか良くわからない書類を提出するのが面倒なんだよなぁ~。

まる

年末調整が必要なのは、給与から源泉徴収さている金額実際に収める必要のある税金の額が完全には一致しないからなんだよ♪

源泉徴収額と実際の納税額が一致しない理由

それでは、なぜ源泉徴収された金額と実際の納税額が一致しないのでしょうか?

それには大きく2つの理由があります。

源泉徴収額と実際の納税額が一致しない理由

  1. 源泉徴収されている金額は前年の給与を元に計算された概算金額だから。

  2. 源泉徴収されている金額には”所得控除”と”税額控除”が考慮されていないから。

それでは一つづつ詳しく見ていきましょう。

①源泉徴収されている金額は前年の給与を元に計算された概算金額だから

給与からは毎月”その年に支払うであろう税金分”が源泉徴収されています。

”その年に支払うであろう税金分”は年の初めには確定され、年間の概算金額を按分して月々の給与より差し引かれます。

そして、”その年に支払うであろう税金分”が何で決まるかというと、年間の給与の金額から計算されているんです。

でも、その年の1月時点では年間の給与の金額は分かりませんよね?

年の途中で昇給があるかもしれませんし、賞与がいくら出るかも年の初めでは分かりません。

では、何を元にして源泉徴収額を決めているのかというと、それは前年分の給与になります。

なので、前年の給与額と今年の給与額で差が生じると、源泉徴収額と実際の納税額が一致しなくなるのです。

②源泉徴収される金額には所得控除や税額控除が考慮されていないから

まず、説明に入る前にお給料を受け取っている人の所得税額がどの様に決まるのかを簡単に下の図で見ていきましょう。

上の図の様な流れでお給料にかかる所得税の金額を計算します。

この計算の中に所得控除(SETP3)税額控除(STEP5)というものがあると思います。

所得控除
所得税を計算する際、一定要件にあてはまる場合にその人の合計所得金額から差し引くことが出来る控除のこと。

税額控除
所得税を計算する際、一定要件にあてはまる場合にその人の所得税額から差し引くことが出来る控除のこと。

この所得控除税額控除にはそれぞれ複数の種類があり、控除を使える人はその年の時点でそれぞれの控除の要件に該当した人に限られます。

まる

全ての人が毎年同じ控除を使えるわけではないんだね。

その年にそれぞれの控除の要件に該当していなければ控除は使えませんので、年の最初の時点で決める必要のある源泉徴収の金額には所得控除税額控除が考慮されていないのです。

みなさんが年末調整の時に書類を記入して会社に提出しているしているのは、この所得控除税額控除の申請を行うためです。

それでは、年末調整で所得控除税額控除の申請を行うとどうなるのでしょうか?

年末調整で所得控除や税額控除の申請をすると税金がもどってくる!!

年末調整で所得控除税額控除の申請をすることにより、みなさんの所得税額は安くなります。

そして、その安くなった分の金額は12月もしくは1月分のお給料に加算される形で戻ってきます。

まる

年末調整は毎年10月~11月頃に会社などを通じて必要な書類の提出を行い、税金の過不足があった場合は、12月か翌年1月分の給与に反映されるのが一般的だよ♪

それでは、この年末調整で申請ができる所得控除税額控除にはどのようなものがあるのでしょうか?

年末調整で申請ができる所得控除

所得控除には15種類の控除があります。

そのうち12種類の控除は年末調整での申請が可能になります。

残りの種類は年末調整での申請は出来ず、確定申告での申請が必要になります。

一覧表の下から3種類の控除(医療費控除・雑損控除・寄附金控除)については、年末調整での控除が出来ません。

この3種類の控除を申請するためには、確定申告を行う必要があります。

寄附金控除の中のふるさと納税に関しては、ワンストップ特例制度を利用した場合は確定申告が不要になります。

その他の12種類の所得控除は年末調整での申請が出来ます

年末調整で申請ができる税額控除

税額控除には主に種類の控除があります。

税額控除

住宅ローン控除
住宅ローンを利用して住宅を取得したり増改築した場合に控除を受けることができる。

配当控除
配当所得について確定申告を行い、総合課税を選択する事で控除を受けることができる。

外国税額控除
外国で所得税に相当する税金が課税された場合に、確定申告をすることにより控除を受けることができる。

この種類の控除の中で年末調整で申請が出来る控除は住宅ローン控除の1つのみになります。

この住宅ローン控除の適用を受けるには、初年度のみ確定申告が必要になりますが、2年目以降は年末調整での申請ができます

住宅ローン控除の申請

  • 初年度のみ確定申告が必要

  • 2年目以降は年末調整での申請が可能(確定申告不要)

残りの2つの税額控除(配当控除・外国税額控除)を申請するには、確定申告が必要になります。

給与所得者でも確定申告が必要になる場合

会社から受け取るお給料からは税金が源泉徴収され、年末調整で税金の清算がおこなわれるため、通常はみなさんが税金の申告(確定申告)をする必要はありません。

しかし、次の場合には給与所得者でも確定申告が必要になります。

まとめ

今回は、言葉は聞いたことがあるけど、何をしているのか?どうして必要なのか?が意外と分からない年末調整について説明をしてきました。

年末調整では確定申告を行わない給与所得者が所得控除税額控除の申請を行うことができます。

控除の申請を行うことにより、源泉徴収により給与から差し引かれていた金額との差額分がもどってきます。

しかし、これらの控除は申請主義のため、納税者の申請が無い場合は、たとえ控除の適用要件に該当していたとしても控除を受けることは出来ません

各種控除の適用要件に該当するのかは個々で異なりますので、所得控除や税額控除の適用要件に該当するかどうかを確認して、申請し忘れのないように気を付けましょう。

もしも控除の適用要件を調べたけれど、”自分が要件に該当するか分からない”という人は、会社で年末調整を担当している部署(総務部や経理部)の人に聞いてみると良いでしょう。

まる

必ず自分で一度調べた上で相談に行こうね♪

ちなみに、今回お話した年末調整の結果、発行されるのが源泉徴収票になります。

まる

源泉徴収票には自分にどんな所得控除や税額控除が適用されているかが記載されているんだよ♪

“源泉徴収票の見方”については下記を参照ください

今回の内容が少しでもみなさんの資産形成のお役に立てたら幸いです。

みなさんの明日がより良い日になりますよ~~に♪