外国税額控除とは、外国で課税された税金を一定範囲で日本の所得税から控除する仕組みのことをいいます。
外国税額控除は、控除額を所得税の金額から直接控除することができる”税額控除”のうちの一つです。
▶▶”税額控除”について詳しくはこちら
外国税額控除は、外国と日本で税金が2重に課税されることを避けるための制度なんだよ♪
でも、僕たちの生活の中で外国で税金が課税されることなんてあるのかな 〜??
外国の株式や外国ETFから配当金を受け取っている人は、この配当金は外国と日本で2重に課税されているんだよ♪
今回は、私たちの生活の中でも身近な外国株式や外国ETFから支払われる配当金を例にして、外国税額控除とはどのようなものかを見ていきましょう。
外国株式・外国ETFの配当金
外国株式や外国のETFから支払われる配当金は、外国で10%の課税がされて、日本国内でさらに20%の課税がされています。
外国株式や外国ETFの配当金は外国でも課税されるんだけど、売却益は租税条約により外国では課税されないんだよ♪
次の図を見て下さい。

このように、外国株式や外国ETFから支払われる配当金には、外国と日本で二重に課税されているので、外国税額控除を申請することにより外国で課税された分を取り戻すことができます。
しかし、外国税額控除には上限があるため、必ずしも外国課税分の全てを取り戻せるわけではありません。
外国税額控除の限度額
外国税額控除には上限があるため、必ずしも外国で課税された分の全てを取り戻せるわけではありません。
限度額以内であれば、外国で課税された全額が控除できるよ♪
それでは、外国税額控除の限度額はいくらになるのでしょうか?
限度額は次の計算式を使って求めます。

う・う・う〜〜ん・・・・なんだかよくワカラナイナ・・・。
例を使って少しづつ説明するから大丈夫だよ♪
一緒に見ていこうね♪
控除限度額の計算例 ①
◎ 例1◎
その年の総所得金額が500万円で、そのうちの10万円が外国の所得(外国株式の配当金)だった場合。外国税額控除の限度額はいくらになる?
この場合は、配当金の10万円に対して10%にあたる1万円が外国で税金として引かれます。
外国税額控除の限度額が1万円以上であれば、外国で税金として引かれた1万円が全て税額控除として所得税より控除されます。
しかし、限度額が1万円未満だった場合は、その限度額が外国税額控除の金額になります。
それでは、限度額はいくらになるのか、計算をしてみましょう。

まずは、所得総額が500万円で、その内の10万円が外国の所得なので、次のようになります。

あとは所得税の額が分かれば控除限度額が求められます。
所得税の額は所得総額(500万円)に税率を掛けて求めます。
計算する際は次の速算表を用います。

今回は所得総額が500万円なので、速算表の”330万円超〜695万円以下”の部分になります。
所得税の額=500万円×20%ー42.75万円=57.25万円
よって、所得税の額は57.25万円になります。
所得税の計算手順について詳しくは下記をご参照ください。

この所得税の額を控除限度額の計算式にあてはめると次のようになります。

よって、控除限度額は11,450円になります。
この場合は、控除限度額11,450円 > 外国税額10,000円 になります。
外国税額が控除限度額以内なので、外国で引かれた税金の1万円が全て外国税額控除として所得税より控除されます。
それでは、続いて例題をもう一つ見てみましょう。
控除限度額の計算例 ②
◎ 例2◎
その年の総所得金額が300万円で、そのうちの10万円が外国の所得(外国株式の配当金)だった場合。外国税額控除の限度額はいくらになる?
さっきの計算例を参考にしてみんなも是非一緒に解いてみてね♪
この場合も、配当金の10万円に対して10%にあたる1万円が外国で税金として引かれます。
外国税額控除の限度額が1万円以上であれば、外国で税金として引かれた1万円が全て税額控除として所得税より控除されます。
しかし、限度額が1万円未満だった場合は、その限度額が外国税額控除の金額になります。
それでは、限度額はいくらになるのか、計算をしてみましょう。

まずは、所得総額が300万円で、その内の10万円が外国の所得なので、次のようになります。

あとは、所得税の額が分かれば控除限度額を求めることができます。
所得税の額は所得総額(300万円)に税率を掛けて求めるんだよね♪
計算する際は次の速算表を用います。

今回は所得総額が300万円なので、速算表の”195万円超〜330万円以下”の部分になります。
所得税の額=300万円×10%ー9.75万円=20.25万円
よって、所得税の額は20.25万円になります。
この所得税の額を控除限度額の計算式にあてはめると次のようになります。

この場合は、控除限度額6,750円 < 外国税額10,000円 になります。
外国税額が控除限度額を上回ってしまいますので、控除限度額の6,750円が外国税額控除として所得税より控除されます。
住民税から外国税額控除が控除できる場合
外国税額控除は所得税と住民税の両方から控除が出来るの??
外国税額控除は、まず最初に所得税の税額から控除がされて、控除しきれない控除額がある場合に住民税の税額から控除がされるんだよ♪
そうなんです。外国税額控除はまずはじめに所得税から控除がされます。
そして、所得税から控除しても控除額が残る場合に限って住民税の税額から控除がされる仕組みになっています。

外国税額控除の申請方法
外国税額控除は確定申告にて控除申請を行う必要があります。
年末調整では外国税額控除の申請は行えませんので、ご注意ください。
確定申告は翌年の3月15日までに所轄税務署にて申告を行います。
国内上場ETFの分配金は二重課税の自動調整が行われる
外国株式や外国のETFから支払われる配当金は、外国で10%の課税がされて、日本国内でさらに20%の課税がされています。
これは、外国と日本での二重課税にあたるため、外国で課税された税金の一部を取り戻すことができます。

”この外国で課税された分を取り戻すには確定申告で外国税額控除を行う必要がある”
というのが、今回の外国税額控除の内容でした。
しかし、国内上場ETFから支払われる分配金には、外国で課税された税金分を日本国内で課税される税金分から自動で控除してくれる仕組みがあります。

国内上場ETFの場合は、確定申告で外国税額控除の申請を行わなくても自動で二重課税が調整される仕組みになっているんだね♪
国内上場ETFと海外上場ETF
でも、国内上場ETFって何? ”国内”って名前がついてるから、外国とは関係ないんじゃないの?
国内上場ETFにも海外の株式や指数などを投資対象にしているETFがあるんだよ♪
ETFには国内上場ETFと海外上場ETFの2種類があります。
東京証券取引所に上場しているETFのことを国内上場ETF、海外の証券取引所に上場しているETFのことを海外上場ETFといいます。
国内ETFと海外ETFの違いは、”どこの国を投資の対象にしているか?”ではなく、”どこの国の証券取引所に上場しているか”なんだよ♪
なので、国内上場ETFの中にも海外の株式や指数を投資対象にしたETFがあります。
例えば、アメリカや全世界を投資対象にした国内上場ETFには次のようなものがあります。
2558/ MAXIS 米国株式(S&P500)
米国株式(S&P500)を投資対象にした国内上場ETF
投資信託で有名なeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)のETFバージョン
2559/ MAXIS 全世界株式(オール・カントリー)
全世界の株式を投資対象にした国内上場ETF
投資信託で有名なeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)のETFバージョン
このような国内上場ETFで海外の株式や指数を投資対象にしたETFの場合は、二重課税の自動調整が行われます。
厳密には国内上場ETFでもごく一部のETFは自動調整の対象外になるんだけど、今回紹介した2つのETFは自動調整に対応しているよ♪
ETFと投資信託について詳しくは下記を参照ください

まとめ
今回は税額控除の一種である外国税額控除についてお話ししてきました。
▶▶”税額控除”について詳しくはこちら
外国税額控除の内容をまとめると次のようになります。

今回お話しさせてもらった内容が少しでもみなさんの資産形成のお役に立てましたら幸いです。
みなさんの明日が今日よりもっと素敵な日になりますよ~~に♪