NISAや確定拠出型年金などが普及してきた昨今、”投資信託”や”ETF”という言葉はみなさんも一度は聞いたことがあると思います。
投資信託とETFは、一見すると似ているけど細部は異なる”兄弟”のような関係です。
今回は、投資対象としてもよく比較される”投資信託”と”ETF”について、それぞれの特徴や違いを見ていきましょう。
2つの特徴や違いを理解することで、自分の投資目的に合わせて投資信託とETFを使い分けられるようになるよ♪
”投資信託”と”ETF”の違いを一覧にすると次のようになります。

それぞれの違いを順番に詳しく見ていこうね♪
投資信託ってなに?
投資信託とETFの違いについて見ていく前に『投資信託とは何か?』について簡単に確認をしましょう。
投資信託とは、”投資家から集めたお金を一つの大きな資金としてまとめて、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品”のことをいいます。

投資信託の運用成績は市場環境などによって変動します。投資信託の購入後に、投資信託の運用がうまくいって利益が得られることもあれば、運用がうまくいかず投資した額を下回って、損をすることもあります。このように、投資信託の運用によって生じた損益は、それぞれの投資額に応じてすべて投資家に帰属します。
つまり、投資信託は元本が保証されている金融商品ではありません。
『投資信託とは何か?』を確認したところで、ここからは本題の投資信託とETFの違いについて見ていきましょう♪
上場 or 非上場

みなさん、ETFとは何の略か知っていますか?
ETFとはExchange Traded Fund の略で、日本語では「上場投資信託」といいます。
う・・・・ん??・と・・・投資信託???
そうなんです・・・・。じつは、ETFも投資信託なんです。
ETFも投資信託も2つともベースは同じ”投資信託”なのですが、その中で証券取引所に上場しているものをETF(上場投資信託)といいます。
証券取引所に上場しているものをETF(上場投資信託)・上場していないものを投資信託と呼ぶんだよ♪
でも、証券取引所に上場しているとどうなるの??
証券取引所とは、株式の売買を行う場所です。
この証券取引所に上場することで、投資信託でも株式と同じルールで売買することが出来るようになります。
投資信託が株式と同じルールで売買できるようになると、具体的には次のような点で投資信託とETFで異なる特徴が出てきます。

購入場所
投資信託は販売会社から購入します。
販売会社とは、投資信託の販売を任された証券会社・銀行・郵便局などのことをいいます。
証券会社や銀行・郵便局などは投資信託の各商品ごとに『うちでこの投資信託を販売させて下さい』と販売の申請をして、申請が通るとその商品の販売会社になることができます。
なので、投資信託は販売会社ごとに取扱商品が異なります。

投資信託の場合は販売会社ごとに取扱商品が異なるため、インターネットで調べて『この投資信託が買いたい!!』と思い、販売会社に行っても、その商品が取り扱われてない場合もあります。
ネット証券のSBI証券や楽天証券は投資信託の取扱商品数が豊富でオススメだよ♪
一方のETFは証券会社に開設した証券口座より、証券取引所で自由に売買をすることができます。
そのため、どの証券会社で口座開設をしても証券取引所で同じETFの売買をすることができます。

投資信託は証券会社以外の銀行や郵便局でも販売をしているけど、ETFは証券会社の証券口座を使わないと取引が出来ないんだよ♪
投資信託とETFの購入場所をまとめると下記のようになります。
価格の変動
投資信託の価格は1日に1回だけ変動します。
一方でETFは証券取引所に上場しているため、株式と同じじょうにリアルタイムで価格が変更します。
投資信託とETFの購入価格
ETFの価格はリアルタイムで変動するため、注文を出した時点の価格が購入価格になります。
一方で投資信託の場合は注文を出した時点では購入価格が分かりません。
どうして?投資信託の価格は1日に1回変動するから、注文を出した時に表示されている価格が購入価格になるんでしょ??
実は、投資信託の表示されている価格は前営業日の価格なんだよ♪
投資信託の価格は”基準価額”と呼ばれますが、投資信託の購入画面などに表示されている最新の基準価額は前営業日の価格になります。
そして、注文当日の基準価額が公表されるのは当日の投資信託の注文締切後(15:00以降)になります。
つまり、投資信託は注文を出した時には、注文が確定する基準価額が分からない仕組みになっているんです。

どうして注文する時にその日の価格が公表されてないの??
注文時点で購入できる価格が分からないと不便だよ!!
そう思うのは当然だよね♪
でも投資信託が意地悪でそうしてるんじゃないんだよ♪
このように投資信託の取引が、当日の基準価額が分からない状況で行われているのは、投資信託を保有している人の利益が損なわれないように設けられている投資信託独自の仕組みで、このことを専門用語で”ブラインド方式”といいます。
このあたりの内容は専門的で少し難しいから覚えなくて大丈夫だよ♪
投資信託は注文を出した後に公表される基準価額が購入価格になるっていうことだけ覚えておいてね♪
投資信託とETFの価格の変動をまとめると下記のようになります。
注文方法
投資信託の注文方法は成行注文(なりゆき)のみになります。
- 成行注文とは、値段を指定せずに現在の値段(投資信託は注文締切後に公表される基準価格)で売買を行う注文方法です。
一方のETFは、証券取引所に上場しているため株式と同じ注文方法で取引ができます。
具体的には、ETFの注文方法は成行注文に加えて、指値注文(さしね)・空売注文(からうり)・レバレッジ取引などが可能になります。
- 指値注文とは、『この値段になったら買う』・『この値段になったら売る』というように、値段を指定して注文を出す方法です。
- 空売注文とは、値段が下がった時に利益が出る注文方法です。
- レバレッジ取引とは、証券会社に現金を担保として預け入れ、預け入れた金額の最大3.3倍の金額の売買を行える取引のこと。
投資信託とETFの注文方法をまとめると下記のようになります。
投資信託の注文方法は成行注文だけだけど、投資信託が証券取引所に上場してETFになることで、株式と同じように取引できるようになるから、ETFは様々な方法で注文が出来るんだね♪
最低購入金額
投資信託の最低購入金額は販売会社によって異なりますが、ネット証券会社のSBI証券や楽天証券では、最低購入金額は100円から購入が可能です。
一方のETFは、最低購入金額は1口(株式でいうところの1株)からになります。
例えば、購入するETFの価格が1口=1,000円の場合の最低購入金額は1,000円、ETFの価格が1口15,000円の場合の最低購入金額は15,000円になります。
投資信託とETFの最低購入金額をまとめると下記のようになります。
毎月定額で積立をするには、金額で指定できる投資信託の方が便利だね♪
購入手数料
購入手数料とは、投資信託やETFを購入する時の手数料として販売会社や証券会社に支払う費用です。
この販売手数料は、販売会社や証券会社ごとに異なります。
投資信託の購入手数料
投資信託は最大で購入金額の3.3%を購入手数料として販売会社に支払います。
SBI証券と楽天証券では投資信託の購入手数料が無料で取引が出来るよ♪
投資信託の購入手数料は販売会社ごとに異なります。
SBI証券や楽天証券など、一部のネット証券会社では投資信託の購入手数料を無料にしている場所もなります。
一方で、銀行や郵便局などの窓口で投資信託を購入する場合は、一般的に2%〜3%の購入手数料がかかります。
販売手数料は販売会社の貴重な収入源なので、一昔前はどこの販売会社でも販売手数料がかかっていました。
しかし、最近は投資信託の販売競争により手数料が値下げされ、中には販売手数料そのものを無料にする会社も出てきています。
今は投資信託の販売手数料は、しっかりと購入場所を選ぶことで支払わなくても済むコストになっているんだね♪
ETFの購入手数料
ETFにも購入手数料がかかります。
ETFの購入手数料も証券会社ごとに異なり、一般的に株式の購入手数料とETFの購入手数料は同じ金額に設定されています。
株式の購入手数料は証券会社ごとに様々だから、株式やETFの取引をするには手数料の安い証券会社を選ぶ必要があるね♪
SBI証券と楽天証券は株式・ETFの購入手数料でも証券会社の中で最安です。
さらに、SBi証券と楽天証券では、国内ETF・海外ETFのうち、一部銘柄の購入手数料が無料になっています。


あすなろFPテラスでは、投資信託やETF・株式の取引を行う場合の証券会社はSBI証券と楽天証券をおすすめしているよ♪
信託報酬(保有コスト)
投資信託とETFには保有してる間に支払う費用として”信託報酬”というものがあります。
投資信託やETFは投資家から集めたお金を保管したり・運用したりする為に費用がかかります。
このような投資信託やETFを保有・運用するために必要な費用・手数料を信託報酬として支払います。
信託報酬は投資信託・ETFの各商品ごとに異なります。
信託報酬はETFと投資信託のどちらが安い?
一般的には信託報酬は投資信託よりもETFの方が安くなります。
最近は投資信託の価格競争と企業努力で一部の投資信託の信託報酬が引き下げられてきたんだよ♪だから優良投資信託とETFとの間での信託報酬の差はほとんど無くなってきたよ♪
投資信託よりもETFの方が信託報酬を安く抑えられるのには理由があります。
”信託報酬”とは、投資信託やETFを保有・運用するために私たちが支払う保有コストの総称です。
私たちが支払ったこの信託報酬は、そこから複数の会社に支払われます。
投資信託の信託報酬は次の3つの会社に対して支払われます。
- 運用会社:資産を運用する会社
- 販売会社:投資信託を販売する会社
- 信託会社:資産を管理する会社
私たちが支払う信託報酬の内、各会社に支払われる報酬の割合はおおむね次の通りです。
- 運用会社:信託報酬の内の約50%
- 販売会社:信託報酬の内の約45%
- 信託会社:信託報酬の内の約5%

一方、ETFの信託報酬は次の2つの会社に対して支払われます。
- 運用会社:資産を運用する会社
- 信託会社:資産を管理する会社

あれ??投資信託は販売会社にも信託報酬を支払ってたよね?
よく気がついたね♪ETFは信託報酬を販売会社には支払わないんだよ!だから信託報酬が安く出来るんだね♪
そうなんです。ETFは信託報酬を販売会社には支払いません。
投資信託は”販売会社”を通して商品を購入します。
この販売会社は商品販売時の販売手数料に加えて、信託報酬からも手数料を受け取ることができます。
この販売会社に対して支払われている手数料は投資信託の信託報酬の内おおよそ45%を占めています。
一方でETFは、販売会社を通して購入するのではなく、証券会社で開設した証券口座を使って証券市場で自由に取引を行います。
そのため、ETFには販売会社に支払う手数料は無いので、投資信託よりもETFの方が信託報酬を安くすることが出来るのです。
投資信託とETFの信託報酬を比較してみよう
投資信託とETFの信託報酬を実際の商品を使って比較してみましょう。
今回比較で使う投資信託の”eMAXIS Slimシリーズ”とETFの”MAXIS シリーズ”は、両方とも日本最大手の運用会社である三菱UFJ国際投信が手がける、国内でも屈指の信託報酬が安い投資信託とETFです。
資産運用は運用コストを抑えることで運用成果が大きく変わってきます。
あすなろFPテラスでは投資信託では”eMAXIS Slimシリーズ”を、ETFでは”MAXIS シリーズ”をおすすめしています。
特に投資信託には様々な商品があって、信託報酬も千差万別なんだよ♪中には信託報酬がぼったくりレベル(1〜2%)で高い商品もあるから注意しようね♪

貸株制度
みなさんが保有している株式などを証券会社に貸し出すことで、証券会社から金利が受け取れることは知っていますか?
この制度のことを”貸株制度”といいます。
ETFは貸株制度の対象になりますが、投資信託は対象外になります。

貸株制度の金利は銘柄ごとに異なるんだけど、年0.1%〜10%程度の金利が受け取れるんだよ♪
この貸株制度は証券会社が行うサービスで、国内の証券取引所に上場している銘柄が貸株制度の対象になります。
国内の証券取引所に上場している銘柄が貸株制度の対象になるので、国内の上場株式はもちろんのこと、国内で上場している投資信託である国内ETFも貸株制度の対象になります。
一方で、上場をしていない投資信託や海外株式・海外ETFは貸株制度の対象にはなりません。
海外ETFとは、海外の証券取引所に上場しているETFのことをいいます。
一方で、国内の証券取引所に上場しているETFのことを国内ETFといいます。
国内ETFと海外ETFの違いは、❌”どこの国を投資対象にしているか?”ではなく、⭕️”どこの国の証券取引所に上場しているか”の違いになります。
なので、海外の株式や指数を投資対象にしている国内ETFというものもあります。
海外の株式や指数を投資対象にした国内ETFも貸株制度の対象になるよ♪♪

分配金の再投資
投資信託やETFからは定期的に投資家に対して分配金が支払われます。
この分配金を再投資することで、投資の元本が増えて資産の増加するスピードは加速していきます。
投資信託の場合は、購入する際に設定をすることで”分配金を自動で再投資する”ことができます。
投資信託は分配金を自動で再投資してくれるだね♪
一方のETFの場合は、”分配金の自動再投資”は行われず、一度受け取った分配金を自分で再投資する必要があります。
税金の繰延効果
分配金は受け取る際に20%の税金がかかります。
そのため、ETFのように分配金を一度受け取ってから再投資をするとなると、分配金から20%の税金が引かれた残りの金額(分配金の80%)しか再投資に回せなくなります。
一方で、投資信託は分配金を受け取ることなく、投資信託内で分配金を自動で再投資してくれるので、この時点では分配金に対する税金はかからず、分配金の100%が再投資に回せることになります。
投資信託の場合は”分配金の自動再投資”の設定をすることで、分配金から税金が引かれずに、全額を再投資に回すことが出来るんだね♪

まとめ:投資信託とETFの選び方について
今回は”投資信託”と”ETF”の違いについてみてきました。
”投資信託”と”ETF”は両方とも投資信託ですが、証券取引所に上場して株式と同じルールで取引できるようになったものがETFになります。
”投資信託”と”ETF”の違いを一覧でまとめると次のようになります。

結局、僕は投資信託とETFのどっちを選べばいいの??
投資信託とETFのどちらを選ぶかは、どの様な運用方法をしたいかで変わってくるよ♪
”投資信託”と”ETF”のそれぞれの特徴から、運用方法ごとにどちらの商品の方が適しているのかを見ていきましょう。
ETFの場合は、最低購入金額は1口〜なので、定額での積立が行えません。
例えば、1口7万円のETFの場合は最低でも7万円出さないと購入出来ませんし、月に10万円を積み立てたいと思っていても、1口分の7万円しか購入ができません。
ETFは”月に何口を積み立てる”という定口での積立は出来るんだけど、”月に何円を積み立てる”という定額での積み立ては出来ないんだよ♪
一方の投資信託は最低購入価格が100円〜設定出来るため、定額での積立を行うことができます。
投資信託の場合は、分配金を受け取らずに投資信託内で自動的に再投資を行なってくれます。
そのため、分配金の再投資を自分で行う手間がかかりません。
さらに、分配金を受け取らずに再投資に回すため、分配金の受け取り時にかかる税金分が引かれることなく、再投資に回すことができます。
投資信託の場合は、分配金の支払いの有無を任意で決められるものもありますが、中には運用方針で”運用資産の成長を目的とするために原則として分配金は出さずに運用資金に上乗せする”と分配金を原則として支払わないと定めているものがあります。
一方のETFの場合は、分配金が支払われますので、分配金の受け取りを目的とした運用の場合はETFがおすすめです。
投資信託の場合は、現在表示されている価格で注文を入れた場合でも、その金額では購入できず、実際の購入金額が決まるのは、当日の投資信託の注文締切後(15:00以降)になります。
一方のETFはリアルタイムに価格が変動し、その時に表示されている価格で取引が行えます。
また、”この金額になったら買いたいな〜”というときは、ETFでは指値注文を設定することで決まった値段になったら自動的に購入する注文を設定することも可能です。
自分の決めた値段で絶対に買いたい!!という場合はETFがおすすめです。
値段が下がった時に利益が出る”空売り”を行いたい場合はETFで空売り注文ができます。
投資信託はその時の基準価格でしか取引が出来ないのに対して、ETFは多彩な注文方法が出来るのが魅力の一つです。
購入価格や信託報酬は商品を購入する場所や各商品ごとに異なります。
投資信託とETFでは、信託報酬を販売会社に支払うかどうかの違いにより、ETFの方が投資信託よりも信託報酬が安くなるのが一般的です。
しかし、最近は一部の優良投資信託で信託報酬が引き下げられており、ETFと優良投資信託との間でのコストの差はほとんど無いに等しい状態です。
コストの面から考えると、優良投資信託とETFでは大きなコストの差はありませんので、投資信託とETFを選ぶ際にはコスト以外の基準(積立投資か?分配金は再投資か?購入方法は?など)で選ぶことをおすすめします。
ここで”優良”投資信託と表現しているのは、投資信託には様々な商品があり、購入する場所や商品で購入手数料や信託報酬が大きく異なるためです。
投資信託とETFのコストの差よりも、もっと気にするべき大切な事は、高い販売手数料のかかる銀行や郵便局の窓口で投資信託を購入したり、高い信託報酬を取られる投資信託を購入したりしないように注意することです。
投資信託を購入する時は、販売手数料のかからないSBI証券や楽天証券をつかって、優良投資信託である”eMAXIS Slimシリーズ”などを購入するのがおすすめだよ♪
今回は投資信託とETFの違いや、運用方法ごとに投資信託とETFのどちらが適しているのかについて見てきました。
みんなの運用方法には投資信託とETFのどちらが合っているかな??
今回お話しさせてもらった内容が少しでもみなさんの資産形成のお役に立てましたら幸いです。
みなさんの明日が今日よりもっと素敵な日になりますよ~~に♪