税金について学ぶ

所得控除(住民税)

今回は住民税の求め方の3回目。”所得控除”について見ていきます。

所得控除とは

所得控除とは、一定の要件にあてはまる場合に、その人の所得金額から差し引くことが出来る各種控除のことをいいます。

この所得控除は確定申告以外にも会社の年末調整でも申請をすることができます。

年末調整について詳しくは下記の記事を参照下さい。

所得控除の申請をすることで、所得金額が安くなりますので、結果として所得税が安くなります。

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所得控除は所得税住民税の両方で使えるものなんだよ♪だから、所得控除を申請すると、所得税と住民税の両方を安くすることが出来るんだよ♪

しかし、所得控除は申請主義になりますので、納税者が控除の申請を行わない場合は、たとえ控除の要件に当てはまっていたとしても、その控除は適用されません。

所得控除の申請漏れの無いように、しっかりと所得控除の種類や要件を学んでいきましょう♪

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今回の所得控除とSTEP5の税額控除が所得税の中で一番の節税ポイントだよ♪

所得税と住民税の所得控除の違い

所得控除は所得税と住民税の両方で同じ種類の控除を使うことが出来ます。

しかし、住民税の所得控除は所得税の所得控除にくらべて控除金額が低いものが多くなっています。

所得税と住民税では同じ種類の所得控除が使える

住民税は所得税に比べると控除金額が低いものが多い

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所得税と住民税の控除額の違いを一覧表を使って見てみよう♪

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控除額の違いを覚える必要はないよ♪ “所得税と住民税では同じ所得控除が使える”・“控除額は所得税よりも住民税の方が低いものが多い” っていうことだけ覚えておいてね♪

15種類の所得控除

ここでは、15種類の所得控除の金額や適用要件について見ていきます。

所得税と住民税では控除金額は多少異なりますが、所得控除の適用要件は所得税と住民税で同じ要件になります。

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所得控除の適用要件に該当すれば、所得税と住民税の両方で所得控除が適用されるっていうことだね♪

それでは、所得控除の種類と適用要件を一覧表を使って見ていきましょう。

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この一覧表のように、所得控除には15種類の控除があって、各控除の適用要件にあてはまる場合に、その人の所得金額から控除額を差し引くことができるんだよ♪

所得控除の大まかな内容が分かったところで、続いては所得控除の適用要件などを1種類づつ詳しく見ていきましょう。

基礎控除

基礎控除は、合計所得金額が2,500万円以下の人であれば誰でも控除を受けることができます。

控除額は、納税者の合計所得金額に応じて下記のようになります。

配偶者控除

配偶者控除は、下記の要件を満たす控除対象配偶者がいる場合に控除を受けることができます。

◎ 控除対象配偶者の要件 ◎

  • 納税者と生計を一にする配偶者
  • 配偶者の合計所得金額が48万円以下
    ※年収でいうと103万円以下
  • 納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下
  • 青色事業専従者でないこと

年収103万円の壁については下記をご参照下さい。

配偶者控除の対象となる配偶者とは、婚姻関係のある配偶者のことをいいます。

なので、婚姻関係の無い内縁の妻など、事実婚の相手は配偶者控除の対象にはなりません。

一方で、婚姻関係があれば妻(納税者)が夫を配偶者として配偶者控除の申請をすることが出来ます。

控除額は、納税者本人の合計所得金額と配偶者の年齢(70歳未満 or 70歳以上)に応じて下記のようになります。

配偶者特別控除

配偶者特別控除は、配偶者の合計所得金額が48万円を超えてしまい、配偶者控除が受けられない場合で、以下の要件を満たす場合に控除を受けることができます。

◎ 配偶者特別控除の要件 ◎

  • 納税者と生計を一にする配偶者
  • 配偶者の合計所得金額が48万円超133万円以下
  • 納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下
  • 青色事業専従者でないこと
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配偶者特別控除の要件は、配偶者の合計所得金額以外の要件は配偶者控除と同じだよ♪

控除額は、納税者本人の合計所得金額と配偶者の合計所得金額に応じて下記のようになります。

扶養控除

扶養控除は、下記の要件を満たす扶養親族がいる場合に控除を受けることができます。

◎ 扶養親族の要件 ◎

控除額は扶養親族の年齢などに応じて下記のようになります。

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19歳~22歳は大学在学期間になり、教育費がかかるから控除額が多くなっているんだよ~♪

障害者控除

障害者控除は、納税者本人または下記の要件を満たす配偶者・扶養親族が障害者である場合に控除を受けることができます。

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障害者控除は納税者本人だけではなく、配収者・扶養親族が障害者である場合も控除の対象になるよ♪

配偶者・扶養親族が障害者であった場合は、配偶者控除・扶養控除の要件を満たしていれば、配偶者控除と障害者控除、扶養控除と障害者控除の併用が可能です。

配偶者控除障害者控除は併用が可能。

扶養控除障害者控除も併用が可能。

◎ 障害者控除の配偶者・扶養親族の要件 ◎

控除額は、障害等級などに応じて下記のようになります。

ひとり親控除

ひとり親控除は、納税者がひとり親(男女問わず)である場合に控除を受けることができます。

ひとり親控除ですので、名称の通り次の人が該当します。

ひとり:現在婚姻していない人

親:子供がいる人

よって、”現在婚姻しておらず、子供がいる人”がひとり親控除の対象者になります。

なお、””現在婚姻していない人”の中には未婚の人も含まれます

つまり、結婚しないで子供を授かったシングルマザーやシングルファーザーでも適用することができるということです。

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ここがひとり親控除で最大のポイントだよ♪このポイントを知っているかどうかでひとり親控除を申請出来る人の範囲が”ぐんっ”っと広がるよ♪

  • 親は男女の区別なくOK!!
  • 未婚の人でもOK!!

ひとり親控除の要件をまとめると下記のようになります。

◎ ひとり親の要件 ◎

  • 合計所得金額が500万円以下
  • 現在婚姻していない人(男女は問わず)
    (死別・離婚以外に未婚の場合もOK
  • 子供がいること
    (子の合計所得金額は48万円以下)
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ひとり親控除とこの次に見る寡婦控除はどちらも生活難を税制面から支援するための制度だから、所得制限(合計所得金額500万円以下)があるんだよ♪

ひとり親控除

控除額:30万円

寡婦(かふ)控除

寡婦控除は、”ひとり親控除”を受けられない場合に、以下の要件を満たす寡婦(女性が控除を受けることができます。

◎ 寡婦の要件 ◎

合計所得金額が500万円以下で次の ① or ② のいずれかに該当すること

① 夫と離婚後、再婚しておらず、扶養親族がいる女性

② 夫と死別後、再婚していない女性
※この場合は扶養要件はない

ひとり親控除は、性別・婚姻歴は問われませんでしたが、寡婦控除女性のみで、かつ未婚の人は対象外になります。

一方で、ひとり親控除は子供を扶養している必要がありますが、寡婦控除は子供以外の親族(親など)を扶養している場合にも控除の対象になります

さらに、配偶者と死別した寡婦に関しては、扶養親族の有無を問わず控除の対象になります。

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寡婦控除はひとり親控除に比べて控除の対象になれる人の要件はきびしいけど、扶養している人の要件は緩和されているんだね♪

寡婦控除

控除額:26万円

勤労学生控除

勤労学生控除は、納税者が学生で合計所得金額が75万円以下(バイト収入だと130万円以下)の場合に控除を受けることが出来ます。

大学生以外でも控除の適用を受けることができますが、一部の専門学校やフリースクールなどでは対象外になる場合があります。

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通っている学校が勤労学生控除の対象になるかどうかは、学校の窓口に問い合わせてみようね♪

勤労学生控除

控除額:26万円

社会保険料控除

社会保険料控除は、納税者本人または生計を一にする配偶者や親族の社会保険料を支払った場合に控除を受けることができます。

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納税者が配偶者や親族の社会保険料を代わりに支払った場合も、納税者はその分の金額の社会保険料控除を受けることが出来るんだよ♪

社会保険料控除

控除額:支出額の全額

生命保険料控除

生命保険料控除は、生命保険料を支払った場合に控除を受けることができます。

この生命保険料は3種類に区分され、それぞれの控除額を個別に計算します。

生命保険料の3つの種類について見ていきましょう。

一般の生命保険

生存または死亡に起因して保険金が支払われる保険
例)死亡保険・収入保障保険・学資保険・養老保険など

② 個人年金保険

個人年金保険料税制適格特約の付加された個人年金保険
例)個人年金保険

③ 介護・医療保険

入院・通院などに伴い給付金が支払われる保険
例)医療保険・がん保険・介護保険など

生命保険料控除額の計算

生命保険料控除は支払った保険料が全額控除額になるわけではなく、支払った保険料に応じて控除額が変わってきます。

そのため、控除額の速算表を用いて、支払った年間の保険料から生命保険料控除額を計算する必要があります。

※平成24年以降に契約した保険の場合
  • 例えば、年間の支払保険料が1.2万円の場合の保険料控除額は、速算表より支払保険料全額の1.2万円になります。

  • 年間支払保険料が4万円の場合の保険料控除額は、速算表より4万円×1/4+14,000円=24,000円になります。

  • 年間支払保険料が8万円の場合の保険料控除額は、速算表より一律2.8万円になります。

そして、控除額の上限は1種類につき最高2.8万円で、3種類合計で最高万円になります。

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2.8万円+2.8万円+2.8万円だけど、3種類合計の控除上限金額は8.4万円じゃなくて7万円になる点に注意が必要だね♪

※平成24年以降に契約した保険の場合

生命保険料控除を活用することで、安くなった分の税金の還付を受けることが出来ます。

その為、貯蓄用の生命保険等を使い、生命保険料控除という税制優遇を活用することで、実際の積立金額よりも自己負担額を抑えることにより、実質利回りを高めることが出来ます。

生命保険料控除の仕組みと効果については下記のページを参照下さい。

地震保険料控除

地震保険料控除は、居住用家屋や生活用家財を保険目的とする地震保険料を支払った場合に控除を受けることができます。

地震保険料控除は、本人または親族が居住している建物や所有している家財が対象になります。

なので、事業用の建物や不動産貸付用の建物は地震保険料控除の対象にはなりません。

地震保険料控除

控除額:支出額の1/2(最高 2.5 万円)

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所得税の場合は、支払った保険料の全額(最高5万円)が控除額になるけど、住民税だと控除額になるのは支払った保険料の1/2(最高2.5万円)だよ♪

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除は、小規模企業共済の掛金や確定拠出年金の掛け金を支払った場合に控除をを受けることができます。

小規模企業共済等掛金控除

控除額:支出額の全額

医療費控除

医療費控除は、納税者本人または生計を一にする配偶者・その他親族が医療費を支払った場合に控除を受けることができます。

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税金を支払う本人だけでなく、その配偶者や親族が支払った医療費も控除の対象になるんだよ♪

医療費控除の控除額は、支払った医療費-受取った給付金ー10万円になります。

医療費控除額※1

支払った医療費の額-受取った給付金の額※210万円※3

※1 医療費控除額の上限は200万円
※2 健康保険や医療保険などからの給付金
※3 合計所得金額が200万円未満の場合は、
   合計所得金額×5%

なお、医療費の中には医療費控除の対象になるものとならないものがあります。

医療費控除は年末調整での申請ができないため、確定申告が必要になります。

年末調整について詳しくは下記を参照下さい

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医療費控除を受けるには医療費などの金額が確認出来るもの(領収書など)が必要になるから、大切に保管しておこうね♪

雑損控除

雑損控除は、納税者本人または生計を一にする配偶者・親族が保有する生活に必要な資産(住宅・家財・現金など)が、災害や盗難などによって損害を受けた場合に控除を受けることができます。

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生活に必要な資産が対象だから、別荘や事業用の資産・書画・骨董品などは雑損控除の対象にはならないんだよ♪

なお、損失があった年に控除しきれなかった金額は、翌年以降年間に渡って繰り越すことができます。

雑損控除

控除額:次のうち、いずれか多い金額

  1. 損失額-総所得金額×10%
  2. 災害関連支出額※1-5万円

※1:火災や地震の後片付け費用など

雑損控除は年末調整での申請ができないため、確定申告が必要になります。

寄附金控除

寄附金控除は、国や地方公共団体などの”特定寄附金”の対象になる寄附金を支払った場合に控除を受けることができます。

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みんなが知っている”ふるさと納税”は、この寄附金控除として所得控除されているんだよ♪

寄附金控除

控除額:寄付金額-2,000円

寄附金控除は年末調整での申請ができないため、確定申告が必要になります。

ただし、ふるさと納税に関しては、年間の寄附先が自治体までなら確定申告をしなくても寄附金控除が受けられるワンストップ特例制度というものがあります。

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このワンストップ特例制度を使えば、確定申告をしなくても寄附金控除が受けられるんだね♪

所得控除をしたその後は・・・?

所得税の求め方の2回で求めた合計所得金額から、今回の所得控除を差し引いた金額を課税所得金額といいます。

合計所得金額 - 所得控除 = 課税所得金額

この課税所得金額に所得税の税率を掛けることにより、所得税額を求めていきます。

課税所得金額 × 税率 = 所得税額

この続きは所得税の求め方の4回目、住民税額の計算にて説明をさせていただきます。

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