今回は10種類の所得のうちの1つである譲渡所得について詳しく見ていきましょう。
譲渡所得以外の所得の説明は下記をご参照ください。
各所得ごとに個別ページで詳しく説明しております。
譲渡所得とは
譲渡所得とは、土地・建物・株式・投資信託・公社債・ゴルフ会員権・書画・骨董・金地金などの資産を譲渡(売却)することによって生じる所得のことです。
なお、生活用動産の譲渡(売却)による所得は非課税になります。
生活用動産は非課税
生活用動産 ⇒ 家具・食器・服・自家用車など
※ただし、貴金属や宝石・書画・骨董などで、1個(または1組)の価格が30万円を超えるものの譲渡による所得は課税対象になります。
また、譲渡(売却)により生じた所得でも譲渡所得には分類されず、他の所得になるものもあります。

各所得の内容について詳しくは下記リンクより
≪事業所得≫ ≪山林所得≫ ≪雑所得≫
譲渡所得の計算と課税方法
譲渡所得は譲渡した資産の種類と所有期間によって、計算方法と課税方法が異なります。
資産の種類は次の3種類に分かれます。
- 不動産(土地・建物)
- 株式等(株式・投資信託・公社債等)
- 不動産・株式等以外の資産(ゴルフ会員権・書画・骨董・金地金・・など)
それぞれの計算方法と課税方法について見ていきましょう。
不動産(土地・建物)の譲渡 分離課税
”取得費”と”譲渡費用”については後で説明するね♪
不動産の譲渡による所得は他の所得と合算しない分離課税になります。
▶ ”分離課税”についてはこちら
譲渡した不動産の所有期間が、譲渡した年の1月1日時点で5年以内(短期)or5年超(長期)で譲渡所得にかかる税率が変わってきます。
短期:譲渡した年の1月1日時点での所有期間が5年以内
税率:39.63%
(所得税30%・復興特別所得税0.63%・住民税9%)
長期:譲渡した年の1月1日時点での所有期間が5年超
税率:20.315%
(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%)
株式等(株式・投資信託・公社債など)の譲渡 分離課税
借入金によって購入した株式等を譲渡した場合、その借入金にかかる利子を収入金額から控除することができます。
株式等の譲渡による所得は他の所得と合算しない分離課税になります。
株式等の譲渡所得にかかる税率は、所有期間の短期・長期による区別はなく、一律で20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%)になります。
不動産・株式以外の資産の譲渡 総合課税
不動産・株式等以外の資産の譲渡による所得は総合課税になります。
▶ ”総合課税”についてはこちら
不動産・株式以外の資産では、譲渡した資産の所有期間が5年以内か5年超かで、短期(5年以内)と長期(5年超)に分かれます。
譲渡した資産の所有期間が5年超(長期)の場合には、譲渡所得の金額を1/2にできる優遇措置があります。
所有期間が5年以内(短期)の場合は、この優遇措置はありません。

総合課税の譲渡所得(不動産・株式等以外の資産の譲渡)については、短期と長期を合算して、最高50万円の特別控除が認められています。
なお、同じ年に短期譲渡所得と長期譲渡所得の両方がある場合は、税率の高い短期譲渡所得から先に控除されます。
このように、譲渡所得では譲渡した資産の種類と所有期間によって、計算方法や課税方法が異なってきます。
つづいては、譲渡所得の計算に出てくる”取得費”と”譲渡費用”とはどのようなものか?について見ていきましょう。
取得費と譲渡費用
◎ 取得費 ◎
取得費とは譲渡した資産の購入代金と資産を取得するためにかかった付随費用のことをいいます。
資産を取得するためにかかった付随費用とは、例えば不動産を購入した際にかかる仲介手数料や登録免許税・印紙代などになります。
なお、取得費が不明な場合は、譲渡価格の5%を取得費とすることができます。
この譲渡価格の5%を取得費としたものを、概算取得費といいます。
◎ 譲渡費用 ◎
譲渡費用とは資産を譲渡するために直接かかった費用のことをいいます。
例えば、不動産を売却した際にかかる仲介手数料や印紙代・測量費用などになります。
