消費税は、私たち消費者から事業者に支払われます。
そして、消費税を受け取った事業者は消費者に代わり、この消費税を国や地方自治体に納税します。

しかし、事業者は消費者から受け取った消費税の全額を国や地方自治体に納付するわけではありません。
事業者は消費税の納税額を自分で計算して、納税する消費税の金額を確定させる必要があります。
それでは、どのように消費税の納税額を計算するのでしょうか?
今回は消費税の納税額の計算方法について一緒に見ていこうね♪
納税額を計算する2種類の方法
事業者が消費税の納税額を計算する方法には次の2種類があります。
- 原則課税制度
- 簡易課税制度
原則課税制度は誰でも使えるんだけど、簡易課税制度が使える事業者には一定の条件があるんだよ♪
それでは、順番に見ていきましょう。
① 原則課税制度
原則課税制度は、消費者から受け取った消費税から仕入れや経費にかかった消費税を差し引いた金額を納税額とする計算方法です。

一方で、消費者から受け取った消費税よりも仕入れや経費にかかった消費の方が多かった場合には、その差額分が還付されます。

この原則課税制度は文字通り消費税の原則的な課税方法で、次に見ていく“簡易課税制度”の選択申請を行わない限り、この原則課税制度が適用されます。
② 簡易課税制度
基準期間における課税売上高(消費税を受け取っている売上)が5,000万円以下の場合には、原則課税制度に代えて簡易課税制度を選択することができます。
消費税の“基準期間における課税売上高”とは、2年前の売上高になる点に注意が必要だよ♪ →消費税の基準期間
それじゃあ、2年前の課税売上高が5,000万円以下の場合は簡易課税制度を選択することが出来るってことだね♪
その通りだよ♪♪
簡易課税制度では、仕入れや経費にかかった消費税を実際に仕入れなどにかかった消費税額ではなく、消費者から受け取った消費税にみなし仕入率というものを掛けて求めることができます。

みなし仕入率
みなし仕入率とは、売上金額と仕入金額との比率のことで、それぞれの業種ごとにみなし仕入率が決まっています。
つまり、『〇〇業では売上に対して仕入にかかる金額の割合はだいたいこれくらいだよね』って決められているのが、みなし仕入率なんだよ♪


みなし仕入率を使った計算
それでは、みなし仕入率を使って消費税の納税額を計算してみましょう。
小売業(みなし仕入率:80%)の場合
消費者から受け取った消費税が1,000万円の小売業者(みなし仕入率:80%)の消費税納税額がいくらになるかを計算してみましょう。

1,000万円 ー(1,000万円 × 80% )= 200万円
よって、消費者から受け取った消費税が1,000万円の小売業者の消費税納税額は200万円になります。
飲食店業(みなし仕入率:60%)の場合
消費者から受け取った消費税が1,000万円の飲食店業者(みなし仕入率:60%)の消費税納税額がいくらになるかを計算してみましょう。

1,000万円 ー(1,000万円 × 60% )= 400万円
よって、消費者から受け取った消費税が1,000万円の飲食店業者の消費税納税額は400万円になります。
このように簡易課税制度では、仕入れや経費にかかった消費税を実際に仕入れなどにかかった消費税額ではなく、消費者から受け取った消費税にみなし仕入率を掛けて求めることができます。
簡易課税制度のメリットとデメリット
簡易課税制度は原則課税制度と比べてどんなメリットがあるの??
簡易課税制度の一番のメリットは消費税の計算が簡単になることだよ♪
簡易課税制度には多くのメリットがありますが、場合によっては簡易課税制度を選択することによりデメリットが生じる場合もあります。
それでは、簡易課税制度にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
メリット
- 消費税の計算が簡単になる
- 税負担が軽減される場合がある
- 納税額が予測しやすい
デメリット
- 複数の事業を行っている場合は計算が複雑になる場合がある
- 税負担が増加する場合がある
- 消費税の還付が受けられない
それでは、順番に見ていきましょう。
メリット① 消費税の計算が簡単になる
そもそも簡易課税制度は『中小事業者の事務負担の軽減』を目的に作られた制度ですので、この “消費税の計算が簡単になる” ことが一番のメリットになります。
簡易課税制度では、仕入れや経費にかかった消費税を実際に仕入れなどにかかった消費税額ではなく、消費者から受け取った消費税にみなし仕入率を掛けて求めることができます。
そのため、仕入れや経費にかかった消費税を把握する必要がないので、事務や帳簿の記帳作業の負担を軽減することができます。
メリット② 税負担が軽減される場合がある
経費をあまり使っていない事業者の場合、簡易課税制度を利用することで消費税の税負担が軽減される場合があります。
簡易課税制度では、仕入れや経費にかかった消費税を実際に仕入れなどにかかった消費税額ではなく、消費者から受け取った消費税にみなし仕入率を掛けて求めることができます。
そのため、実際の仕入れや経費にかかった消費税よりも消費者から受け取った消費税にみなし仕入率を掛けた金額の方が多くなる場合には、消費税の納税額が軽減されます。

一方で、経費を多く支払っている事業者の場合は、原則課税にした方が消費税額が軽減される場合もあります。
そのため、原則課税と簡易課税のどちらの方が消費税納税額が軽減できるのかをしっかりと計算して比較する必要があります。
メリット③ 納税額が予測しやすい
簡易課税制度の場合、消費者から受け取った消費税から消費税納税額を簡単に計算することができるため、事前に納税額の予測がしやすくなります。
つづいては、簡易課税制度を選択することによるデメリットを見ていこうね♪
デメリット① 複数の事業を行っている場合は計算が複雑になる場合がある
簡易課税制度では、仕入れや経費にかかった消費税を実際に仕入れなどにかかった消費税額ではなく、消費者から受け取った消費税にみなし仕入率を掛けて求めることができます。
そして、このみなし仕入率は業種ごとに異なります。

そのため、消費者から受け取った消費税を業種ごとに区分しなければならず、行っている業種が多いとかえって計算が複雑になる場合があります。
ちなみに、複数の事業を行っている場合に、消費者から受け取った消費税を業種ごとに区分していない場合には、行っている業種の中で一番低いみなし仕入率が全ての業種に対して適応されてしまうから注意してね♪
デメリット② 税負担が増加する場合がある
メリット②の“税負担が軽減される場合がある”と相対するデメリットになりますが、実際の仕入れや経費にかかった消費税よりも消費者から受け取った消費税にみなし仕入率を掛けた金額の方が少ない場合には、原則課税よりも簡易課税の方が消費税の納税額が増加してしまいます。

すなわち、実際に経費を多く支払っている事業者の場合は、簡易課税にしたことにより原則課税よりも税負担が増加してしまう場合があるため、注意が必要になります。
デメリット③ 消費税の還付が受けられない
原則課税の場合は、消費者から受け取った消費税から仕入れや経費にかかった消費税を差し引いた金額が消費税の納税額になります。

そのため、消費者から受け取った消費税よりも仕入れや経費にかかった消費の方が多かった場合には、その差額分が還付されます。

しかし、簡易課税の場合には、仕入れや経費にかかった消費税は実際に仕入れなどにかかった消費税額ではなく、消費者から受け取った消費税にみなし仕入率を掛けて求めるます。

そのため、実際にかかった仕入れや経費にかかった消費税が消費者から受け取った消費税より多くても、計算式上での納付額はマイナスになることはありません。
だから、簡易課税の場合には消費者から受け取った消費税よりも実際の仕入れや経費にかかった消費税の方が多かった場合でも、消費税の還付を受けることは出来ないんだよ♪
簡易課税制度の適用を受けるには
簡易課税制度を適用するためにはどうしたらいいの??
簡易課税制度の適用を受けるためには、届出書の提出が必要になるよ♪
簡易課税制度の適用を受けるためには、“消費税簡易課税制度選択届出書”を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
この届出書は、簡易課税制度の適用を受けようとする課税期間の開始前日までに提出する必要があります。
また、簡易課税制度を選択した場合は、最低でも2年間は簡易課税制度を継続しなければなりません。
『今年簡易課税にしたけど、来年は原則課税の方が安くなりそうだ!!』と思っても、2年間は変更できないんだよ♪
2年経過した後であれば、課税期間の開始前日までに“消費税簡易課税制度選択不適用届出書”という届出書を提出することで、簡易課税から原則課税にもどすことができます。
まとめ
今回は消費税の納税額の計算方法について見てきました。
今回の内容をまとめると次のようになります。



メリット
- 消費税の計算が簡単になる
- 税負担が軽減される場合がある
- 納税額が予測しやすい
デメリット
- 複数の事業を行っている場合は計算が複雑になる場合がある
- 税負担が増加する場合がある
- 消費税の還付が受けられない
今回お話しさせていただいた内容が少しでもみなさんのお役に立てましたら幸いです。
みなさんの明日が今日よりもっと素敵な日になりますよ〜に♪
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