相続は人生で何度も経験することではありません。
そのため、相続についての知識を得る機会も少ないですよね。
僕自身、親の相続が発生する前はほとんど何も相続について知らなかったんだ・・・。
しかし、相続の知識は相続が発生する前から知っておく事で、相続税の対策が出来たり・相続争いを避けたりすることができます。
今回の記事では、相続において絶対知っておいてほしい基本的な知識についてお話しさせていただきます。
例えば、みんなは相続について次のような疑問を持ったことはないかな?
今回は、このような疑問を解決していきながら相続の基本知識について一緒に学んでいきましょう♪
相続とは
相続とは、死亡した人(被相続人)の財産を残された人(相続人)が承継することをいいます。
財産を相続される人(死亡した人)のことを被相続人、相続をする人(残された人)のことを相続人といいます。

この『被』っていう言葉には、『〜される』っていう受動態の意味があるんだよ♪
だから、『被相続人』は『相続される人』・『被保険者』は『保険をかけられている人』っていう意味になるんだよ♪
今回は、相続に関して知っておきたい知識を次の4つのポイントに分けて見ていきましょう。
それでは、順番に見ていきましょう。
家族や親族以外にも遺産を分けることができる
遺産の分け方には、法律で定められたシンプルなルールがあります。
そのルールとは次の通りです。
- 遺言書がある場合には、遺言書の通りに遺産を分ける
- 遺言書がない場合には、法定相続人全員での話し合い(遺産分割協議)によって遺産の分け方を決める
そのため、被相続人が遺言書に『Aさん(親族以外の人)に遺産を分ける』と記していた場合には、赤の他人であってもAさんは遺産を受け取ることができます。
この遺言書により財産を譲ることを遺贈(いぞう)といいます。
相続
亡くなった人の財産を、法律で定められた相続人(法定相続人)が引き継ぐこと
遺贈
遺言書により亡くなった人の財産を譲ること
この遺言書による遺贈が、遺産分割の中で一番優先されます。
亡くなった人の意思である遺言書の内容が一番に尊重されるんだよ♪
そして、遺言書がない場合には、法定相続人全員での話し合い(遺産分割協議)によって遺産の分け方を決めることになります。
なお、法定相続人が全員揃っていない状態で行なわれた遺産分割協議は無効になります。
厳密には相続と遺贈は違うものなんだけど、ここでの説明では分かりやすく『相続』という言葉を使わせてもらうね♪
遺産分割協議で法定相続人以外の人に遺産を分けることはできる?
遺産分割協議では、法定相続人全員の話し合いで遺産の分け方を決めることになります。
それでは、法定相続人全員の同意があった場合は、法定相続人以外の人に遺産を分けることはできるのでしょうか?
例えば、被相続人のAさんには生前大変可愛がっていた孫のBさん(法定相続人ではない)がいました。
遺産分割協議の際に、法定相続人全員の一致で『可愛がっていた孫のBさんにも遺産を分けてあげよう!!』という話になりました。
この場合、法定相続人ではない孫のBさんに遺産を分けてあげることはできるでしょうか?
なぜなら、遺産分割協議は法定相続人の中で遺産をどのように分けるかを協議するものであり、誰にでも遺産を分け与えられるものではないからです。
そのため、法定相続人以外の人で遺産を与えたい人がいる場合には、被相続人が生前に記した遺言書が必ず必要になります。
それでは、誰がこの『法定相続人』に該当するのでしょうか?
法律で定められた相続人のことを『法定相続人』という
法定相続人とは、法律で定められた相続人のことをいい、被相続人の配偶者と一部の親族のみが、この法定相続人になることができます。
それでは、下の図を使って法定相続人の範囲を見ていこうね♪

例えば、被相続人に配偶者と子供がいる場合には、『 配偶者と子供 』が法定相続人になるよ♪

法律で定められた法定相続人の相続割合を『法定相続分』という
法定相続人には、法律で定められた相続の割合があります。
これを法定相続分といいます。
この法定相続分は、法定相続人の順位により割合が異なります。
また、同順位に複数の法定相続人がいる場合には、その人数で均等に分けます。
それでは、下の図を使って法定相続分の割合を見ていこうね♪

法定相続分が『法律で定められた相続の割合』ってことは、この通りに遺産を分けないとダメなんだよね??
このように考える方も多いと思いますが、実は遺産の分割割合は自由に決めることができます。
法定相続分とは、遺産分割をする際の割合の目安として国が定めたものになります。
あくまでも目安なので、法定相続人の同意があれば法定相続分通りに遺産を分けなくても大丈夫なんですよ♪
遺言書を書くときにも、法定相続分の割合に関係なく自由に遺産を分割できるんだよ♪
それじゃあ、何のために法定相続分なんてものがあるの??
自由に遺産の割合を決められるんだったら、法定相続分なんて必要ないじゃん!!?
そう思うよね♪ でも法定相続分は、遺産分割の目安以外にも相続税を計算する際などにも使われる重要なものなんだよ♪
法定相続分ってどうして必要なの?
法定相続分とは『遺産分割をする際の割合の目安』というお話をしてきましたが、法定相続分には次のような役割もあるんです。
- 相続税の計算をするときに使用される
- 遺産分割で裁判所による調停や審判になった場合の分割割合のベースになる
- 遺留分(法定相続人が最低限の遺産を取得できる権利)の割合を計算するときに使用される
順番に見ていこうね♪
相続税を計算するときに使用される
相続税の計算は大きく分けて2つの手順に分けられます。
<手順1>
法定相続人が法定相続分通りに財産を分割したものと仮定して、相続税の総額を計算する。
<手順2>
相続税の総額を、実際に受け取った財産の割合で按分することにより各自が納税する相続税額が決定する。

このように、相続税の計算では相続税の総額を計算する際に法定相続分が使用されているんです。
遺産分割で裁判所による調停や審判になった場合の分割割合のベースになる
遺言書がない場合には、法定相続人全員での話し合い(遺産分割協議)によって遺産の分け方を決めます。
しかし、この話し合いがまとまらなかった場合は、裁判所の調停や審判により遺産の分割が行われます。
- 調停:裁判所が間に入って話し合うこと
- 審判:裁判所が判断を下すこと
法定相続分は、裁判所による調停や審判を行う際の遺産分割割合のベースとして用いられています。
あなたの法定相続分からして、実際の相続割合はこれくらいが妥当ではないでしょうか?
こんな感じですね♪
遺留分の割合を計算するときに使用される
一定の法定相続人には遺留分(いりゅうぶん)という『最低限遺産を取得できる権利』があります。
遺留分の内容については、この次に説明するね♪
各法定相続人の遺留分の割合は、
遺留分×法定相続分
で計算されます。
このように、法定相続分は『遺産分割をする際の割合の目安』以外にも
- 相続税の計算をするときに
- 遺産分割で裁判所による調停や審判になったとき
- 遺留分(法定相続人が最低限の遺産を取得できる権利)の割合を計算するとき
などに使用されるとても大切なものなんです♪
一定の法定相続人には『遺留分』という“最低限の遺産を取得できる権利”がある
万が一、被相続人の遺言書に
と書かれていた場合はどうなるでしょうか?
相続では被相続人の意思である遺言書の内容が一番に尊重されるため、このような遺言書でも有効になります。
なんだって!!!それじゃあ、残された家族は1円も財産をもらえないってこと!!?
しかし、これでは残された家族の生活がままならなくなってしまいますよね。
そのために、一定の法定相続人には『遺留分』という“最低限の遺産を取得できる権利”があるんです♪
遺留分権利者
なぜ、一定の法定相続人と言っているかというと、法定相続人であっても兄弟姉妹には遺留分がないからです。
遺留分の権利がある人(遺留分権利者)は、法定相続人のうち、配偶者・子供・親に限られます。

例えば、被相続人に配偶者と子供がいる場合には、『 配偶者と子供 』が遺留分権利者になるよ♪

遺留分の割合
遺留分権利者が主張できる遺留分の割合は、法定相続分の1/2になります。

まとめ
今回は相続についての基本知識について一緒に見てきました。
今回の内容をまとめると次のようになります。
遺産の分け方には、法律で定められたシンプルなルールがあります。
そのルールとは次の通りです。
- 遺言書がある場合には、遺言書の通りに遺産を分ける
- 遺言書がない場合には、法定相続人全員での話し合い(遺産分割協議)によって遺産の分け方を決める
そのため、被相続人が遺言書に『Aさん(親族以外の人)に遺産を分ける』と記していた場合には、赤の他人であってもAさんは遺産を受け取ることができます。
法定相続人とは、法律で定められた相続人のことをいい、被相続人の配偶者と一部の親族のみが、この法定相続人になることができます。

- 配偶者は常に法定相続人になる
- 配偶者以外の法定相続人には優先順位がある
- 第1順位の子供がいるときは、子供が法定相続人になる
- 第1順位がいないときは、第2順位の直系尊属が法定相続人になる
- 第1・第2順位がいないときは、第3順位の兄弟姉妹が法定相続人になる
法定相続人には、法律で定められた相続の割合があります。
これを法定相続分といいます。
この法定相続分は、法定相続人の順位により割合が異なります。
また、同順位に複数の法定相続人がいる場合には、その人数で均等に分けます。

万が一、家族が遺産を受け取れなかった時のために、相続では『遺留分』という“最低限の遺産を取得できる権利”があります。
この遺留分の権利がある人(遺留分権利者)は、法定相続人のうち、配偶者・子供・親に限られ、兄弟姉妹には遺留分がありません。

- 配偶者は常に遺留分権利者になる
- 配偶者以外の遺留分権利者には優先順位がある
- 第1順位の子供がいるときは、子供が遺留分権利者になる
- 第1順位がいないときは、第2順位の直系尊属が遺留分権利者になる
- 兄弟姉妹に遺留分はない
遺留分権利者が主張できる遺留分の割合は、法定相続分の1/2になります。

いかがでしたでしょうか?
冒頭でもお話ししたように、相続は人生で何度も経験することではありません。
そのため、相続についての知識を得る機会も少ないですよね。
しかし、相続の知識は相続が発生する前から知っておく事で、相続税の対策が出来たり・相続争いを避けたりすることができます。
生前に財産を渡す『贈与』を活用することで、相続税を抑えることも出来るよ♪
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みなさんの明日が今日よりもっと素敵な日になりますよ〜に♪